終わりのない旅

        

        誰にも興味はなかった。
        世界なんかどうでもよかった。

        あの時あいつにさえ出会わなければきっと…
        俺は自由のままでいられたかもしれない。

        

        

        アリティア王宮.1

        

        「君はいつでも笑っているけれど、本当に心の底から笑った事はないだろう?」

        突然の物言いにチェイニーは軽く笑ってみせた。
        元々の素質なのかマルス王子は人の核心をつくのがうまい。
        たまにこうやって伺うように見つめてくるのだが、
        なんだか居心地が悪いのでいつも笑ってすませている。
        しかし今回は妙に真剣味を帯びているのは何故だろう。
        「別にそんな事はないと思うぜ。面白いから笑う。それが人間の心理じゃねーか?」
        椅子にもたれかかりながら当たり障りのない答えを返してみると
        マルス王子もその答えがわかっていたのか、やはりと言う顔で
        苦笑しながら黙り込む。

        英雄戦争が終わり、他愛のない昼下がりの王宮の一室。
        平和そのものを象徴するかのように暖かい日射しと鳥の鳴き声が辺りを包み込む。
        静寂は嫌いではないが、このなんともいえない無言の圧力にチェイニーは
        話題を切り替えようとティーカップに手をのばした。
        「それほどまでに本心を隠すのは、君にとって僕は信用に値する人間ではないと言う事かな」
        「…はぁっ!?」
        「この2ヶ月、君を見ていたけれど…君はいつも特定の誰かとは一緒にいないで集団で行動して
         いたよね。それも少し距離をおいて」
        「…」 
        おもいっきり間の抜けた顔でマルス王子を凝視したものの、何と返していいものやらと
        チェイニーは心の中で苦笑していた。
        (そろそろバレるとは思っていたけど、ここまで早いとはな…)
        チキの要望でアリティアの王宮に来てからすでに早2ヶ月。
        戦後の多忙さで滅多に会えないのをいいことに少々マルス王子を甘く見すぎていたかもしれない

        「マルスのおにいちゃ〜ん。ここぉ?」

        突然ドアを開けて元気な声でチキが入って来たおかげで今までの膠着した雰囲気ががらりと変わ
        り、安堵感がチェイニーの全体を包み込む。
        愛らしいドレスに身を包んだチキはてけてけと二人が囲んでいるテーブルに駆け込み、自分もと
        いう感じにちょこんと空いている椅子に腰掛けた。
        「チェイニーのお兄ちゃんも一緒だったんだね。会いたい人に一度に会えて幸せなの〜」
        にこにこと無邪気に笑っているチキを見て、チェイニーはマルス王子に今までの話はお終いだと
        目で合図を送る。マルス王子も諦めたのかチキ用に新しいカップにお茶を注ぎ優しい微笑みでチ
        キにカップを受け渡した。
        他愛もない会話と優しい雰囲気が部屋中を包み込む。
        この空気はけっして嫌いではない。むしろ心地良いくらいだ。

        でも、馴染めない自分が心のどこかに存在しているのをチェイニーは感じている。

        (本当の俺を知った時、こいつらは一体どんな顔をして俺を見るのかな…)

        誰も知らない…もう一人の自分。
        永遠に教える事などない。そう…たとえどんな事をしても…







あぁぁぁぁ・・・とうとうやってしまいました(汗何)初小説でございます(T∀T)
文才がないのは百も承知なのですが、漫画にするとかなり長くなってしまうので
今回初トライ!そして見事に玉砕してみせましょう!(何!?)
とりあえず完結する予定なので気長に生暖かく見てやって下さいませ。
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